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【つくる仕事伝える仕事はやめられない#02】未経験から「動画のプロ」になれますか?

動画の仕事で生きていくためのポイントを動画制作会社㈱MMTを率いる伊東孝俊さんに聞く

7月22日、「つくる仕事、伝える仕事はやめられない!」をスローガンに、デジタルハリウッドSTUDIO横浜が主宰するオンラインイベントが開催されました。第2回のテーマは、「未経験から『動画のプロ』になれますか?」

動画制作会社㈱MMTの代表取締役であり、自身も映像制作クリエイターとして活躍する伊東孝俊さんをお迎えして、パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名さんと、熱いトークが繰り広げられました。

目次■バーチャルライブのCGをリアルタイムで制作
■「独学力」が高い人が伸びていく時代
■些細なきっかけから「好きな仕事」の領域へ
■SNS投稿や“空自信”をキャリアスタートの味方に
■「こなす」ではなく「かます」気持ちに立ち戻る

バーチャルライブのCGをリアルタイムで制作

まずは、登壇者お二人が自己紹介を。モデレーターを務める慶野さんと、ゲストの伊東さんは、早稲田大学の先輩後輩として出会ったそうです。

慶野 私は『パラレルキャリア研究所』という、複数の仕事を持った働き方を推進する活動をしています。

これまで様々な副業を希望する方の相談に乗ってきて、特にここ数年人気なのが動画クリエイターです。

でも、「動画クリエイターにどうやったらなれるのか分からない」「動画を習ったこともない」という方も多いのが現状。

そこで今日は、早稲田大学の先輩であり、美大卒ではない伊東さんが、どうやってキャリアを切り開いて来られたのかをお伺いしたいと思います。

伊東 今日は視聴者のみなさまにも適宜質問していただき、インタラクティブなスタイルでお話させていただければと思います。

まずは、私が代表取締役を務めるMMTがどんな会社なのかをお話しますね。

ひと言で言えば、エンターテインメント業界の映像、特にライブエンターテイメントを数多く制作している会社です。コロナ以前は、音楽フェスやコンサートを撮影してビデオにまとめる、いわゆる「アフタームービー」という領域に特化してブランディングをしていました。

伊東 こういった感じです。コロナ禍になって、ライブ自体がなくなってしまって。それなら違う形でライブをやっていこうと、「バーチャルライブ」を始めてみたんです。

「バーチャルライブ」とは、アーティスト以外の照明や声を、空間ごと全てCGで作るというもので、それらを全部生放送で映し出す「リアルタイムレンダリング」という領域を追求しています。

慶野 この動画はどんな場所で作っているんですか。

伊東 自社のスタジオです。100平米程度の空間ですが、大きく見せられるので社内で完結できるんです。

制作メンバーには、ここ横浜とは違いますが、デジハリの卒業生で、入社1年目の社員もいますよ。あとは最近、3DCGのアバター「Vチューバ―」を使ったバーチャルライブも社内スタジオから放映しています。

この3Dキャラクターの動きも、空間も照明も、全てこのスタジオで生放送をしています。こんな感じで、エンタメ分野やライブで、同年代のクリエイターやアーティストと一緒に新しいことに挑戦しているのがMMTという会社です。

「独学力」が高い人が伸びていく時代

ここからはよりインタラクティブに、視聴者の質問に合わせてトークが展開していきます。

慶野 「今、動画に関してどんな状況で、どんな話が聞きたい」など、視聴者のみなさんの状況をチャットで聞かせてもらえますか?

伊東 アンケート形式が分かりやすいですかね?では3択で、1.技術の中でもカメラよりの話 2.CGよりの話 3.転職、独立、副業についての中で聞きたい話はどれでしょう?

慶野 意外と答えがきれいに割れましたね。

伊東 では何かヒントがあるかも知れないので、弊社でカメラを担当している延松健司(https://www.instagram.com/nobematsu/)という社員の話を少ししようと思います。

彼は入社4年目ですが、元々は新卒で入った不動産会社を3ヵ月くらいで辞めて、「自分は何をしたらいいんだろう」というところから、音楽フェスやダンスミュージックのジャンルをやりたいと考えるようになったそうです。

そこからさらに派生して、映像、素材を撮るカメラマンをやりたいと目覚め、パチンコ店で働きながらデジタルハリウッドで学んだという経歴の持ち主です。

慶野 MMTにはいつ入社されたんですか

伊東 卒業した後ですね。最初はレベルはまだまだでしたが、MMTはそこはほぼ問わず、伸びしろを重視しています。実際、彼は入社後にガラッと変わって、今では1つの事業の部長を任せるレベルまで撮影がうまくなりました。彼のように、今は自分で調べる力、「独学力」が高い人が、社会人になってからも伸びていく時代だと思います。

慶野 驚きのキャリアチェンジですね。転職や独立にはみんな不安があると思うのですが、未経験でも伸びしろがあれば、成長していくものでしょうか?

伊東 間違いないですね。弊社の社員も実は、未経験とか新卒、全然違う業界からの転職組ばかりです。

伸びる人の特徴としては、楽しめることです。もっと言えば、その環境にいることで、自信がつくかどうかが大切だと思います。

同じくらいの能力があっても、「お前はまだまだできない」と言われて育つ人と、「こういう可能性があるからここを伸ばしていこう」と言われて育っていく人は、自信が全然違います。最初に、誰かに「やりたい」と働きかけるためには自信が必要ですので、まずは不安や恐れのない環境を選ぶべきだと思います。

慶野 伊東さん自身が文系大学生からクリエイターになった経緯を、教えていただけますか。

伊東 私は大学では、文学部で学んでいました。ただイベントが好きで、イベントを企画するサークルみたいなことばかりに夢中だったんです。でも「何者かになりたい」という想いだけは強くて、自分がやりたいことを常に模索していました。

就職活動も、大手広告会社を数社だけ受けたけれど、あまり興味が湧かず…。

そのうちに、20歳くらいから映像の仕事を少しずついただくようになって、「このサイクルが広がればフリーランスとして自活できる」と楽観的に考え、就職はしないと決めました。

慶野 映像のスキルはどうやって身に付けたんですか?

伊東 大学時代にWEBや映像制作のアルバイトにちょこちょこ入ってみて、教えてもらいながら仕事をしていました。

些細なきっかけから「好きな仕事」の領域へ

アルバイトで映像のスキルを身に付け、小さな仕事から始められた伊東さん。次に、自分が好きなライブエンターテイメントの仕事を獲得するようになった経緯を教えてくださいました。

慶野 今はかなり有名なアーティストさんの仕事もされていますが、動画の中でも「音楽系」に自分のテーマを決めていったプロセスについて教えてください。

伊東 2013年に、洋楽のアルバムを日本で販売していくための「映像プロモーション」の仕事を受けたことが転機になりました。実はその仕事、見たかったライブのチケットに当たらなかったことをFacebookに書いたら、友人の友人から「カメラマンが足りないから来ない?」と誘われて始まったんです。ギャラはものすごく安くて労働対価に見合っていなかったけれど、心が躍って頑張っちゃったんですよね。

慶野 すごいチャンスですね。

伊東 当時、個人経営のジュエリー会社のWEBサイトを、100万円くらいいただいて1週間ぐらいで作っていたのですが、そのライブの仕事は3週間かけて頑張ってしまって。

そしたらジュエリー会社の方に「私はこんなにお金を出しているのに」と、怒られてしまいました。それで、私は本気で興味のある分野以外安易にやっちゃいけないなと。そこから年収は一時的に下がりましたが、音楽の領域の仕事が増えていった形です。

慶野 そんな些細なきっかけから、自分がすごく好きで、仕事の種になるものが見つかるんですね。そして、自分が好きなことを選んだほうが、やっぱりその後活躍できるんですね。ちなみに、音楽以外の動画クリエイターの働き方やジャンルって、どんなものがあるのでしょうか。

伊東 ジャンルはたくさんあって、MMTはおそらく全般をやってきていると思います。ファッションが好きな人はアパレルブランドの映像CMを作ったり、大手旅行代理店と年間契約して、海外でドローンを飛ばして撮影していた時期もありました。

慶野 動画市場が広がって、好きなテーマで動画を撮るチャンスが広がっているんですね。「行きたい場所に行けて好きな人に会える。自分がワクワクするテーマと関われるチャンスが多い」のが、動画のいいところなのかなと今感じています。

伊東 今は映像を作れるクリエイターは本当に重宝される時代で、特にいいものを作る人は、世の中がちゃんと見つけてくれる仕組みになっています。しかもスキルが上がれば上がるほど、年収も上がるという部分がシンプルでいいところですね。

SNS投稿や“空自信”をキャリアスタートの味方に

ここからは、キャリアの入口やスキルの磨き方について、話が展開します。

慶野 「今ならどういう入口と階段の上り方がありますか?」という質問が来ています。最初の第一歩はどう進んだらいいでしょうか。

伊東 クリエイターの世界ではTwitterが注目されていて、「面白い動画を30秒作ってみた」とかハッシュタグをつけてアップするだけで、その人の評価が瞬く間に上がっていくのをよく見ます。

私自身そういう人材に注目していて、「一緒にやりませんか」と声をかけることが非常に多いですね。ですからまずは、自分が面白いと思う動画を制作して、アップしてみてください。その人に能力があれば、必ず自然に有名になります。

慶野 そうならない時はどうしたらいいでしょうか。

伊東 “空自信”を持つことですね。スキルがなくても、「僕はここに興味があるし、すごい能力があると思うので入らせてください」と心の底から言ってしまうような自信が大切だと思います。

以前、3DCGを第一線で作っている方に取材する仕事があって、「最初のキャリアのきっかけはなんですか」と聞いたことがあります。そうしたら、「有名なゲーム会社に『僕はすごくできる人間だから雇ってくれ』とはったりを言った」と。

それで勉強しなかったら詐欺ですが、勉強してそのスキルまで辿り着いたら真実になりますよね。それでいいんだ、成功できるんだなと。

慶野 まずは自信を持って行動しないと、何も始まらないということですね。ここデジハリ横浜の「動画編集・ネット動画クリエイター専攻」コースでは、こんなスキルが学べるそうなんですが、これをひと通り学んでから、どういうところに売り込んだり、どういう動画をTwitterでバズらせたらいいか、アイデアをいただけませんでしょうか。

ネット動画クリエイター専攻
学べるスキル

伊東 デジハリ横浜で学べるスキルは、どれも使いやすいと思います。ただ、これが全部できなきゃいけないわけではないし、弊社に入社する際、これを1つもできなかった人もいました。

知っていれば知っているほうがいいですが、それよりも大切なのは、「この中で何がめちゃめちゃ好きか」「何のプロになりたいか」というものを見つけることだと思います。

慶野 自分に合うもの、好きなものをグッと極めるのがいいと。クリエイターって、マルチにできるタイプの方もいれば、一点特化型の方もいますよね。「どちらが活躍できる」ではなくて、「どちらのキャリアもあり」なんでしょうか。

伊東 どちらもありですね。間違いなく成功できない人は、嫌なやつです(笑)。

コミュニケーション力というか、いろんなことを感じて、アイデアにして、こんな仕事をやってみたいと常に思う。そういう前向きさや良い心が非常に大切です。優秀な人、成功する人は心が豊かですね。

慶野 スキルと心を引っ提げて、チャンスを探しに行くということですね。

伊東 あと質問で、「さっきのXR LIVEのクリエイティブは、動画スキルも重要そうですが、3DモデリングとかUXのスキルに長けている方が良さそうなのかなと感じます」というものが来ています。これについては、「Unreal Engine」はぜひやっておいた方がいいと思います。詳しくお話すると時間が無くなってしまいますが、「Unreal Engine」が今世界を変えています。

ここで一旦イベントは閉幕となりましたが、終了後に、質疑応答の時間が取られました。動画のプロを目指す方にとって、非常に有益な内容となっていましたので、続いてご紹介します。

「こなす」ではなく「かます」気持ちに立ち戻る

慶野 まず、「動画制作に当たっての最新動向を知るために、活用しているメディアをSNS以外で教えてください」という質問が来ています。

伊東 「Vook(https://vook.vc/)」ですね。映像制作のTipsを分かりやすく言葉で学んでいける人気のサイトで、トレンドを押さえ、いい情報をちゃんと扱っていますし、運営会社は「映像を勉強する」ということに特化して伸びている企業です。

「こういう動画が作りたいなら、こういうスキル、こういうやり方がある」という情報がたくさん詰まっていますので、おすすめですね。

慶野 「動画制作で心がけていることを教えて欲しいです。ご自身の世界観と依頼者の世界観のすり合わせの方法を教えてください」というご質問はいかがでしょうか。

伊東 心がけているのは、「かます」ことです。

仕事を「こなそう」と思ったら絶対喜ばれないし、うまくいかないことが多いんです。その動画で自分の心が躍るか、テンションが高まるかどうか。常に「かます」気持ちに立ち戻ることを大事にしています。

慶野 自分と依頼者の世界観のすり合わせ方法についてはいかがでしょうか。

伊東 これは、一生やっていかなければならないことかも知れません。

ただ自分の場合はすり合わせというよりは、「相手が考えていることより高く跳んで、より高いフィードバック、アウトプットをしていたら、誰も何も言わないだろう」というマインドで取り組んでいます。

慶野 「携帯の動画編集アプリ、パソコンの無料動画編集ソフト、有料の動画編集ソフト、3つの違いを教えていただけますか?」という質問も来ています。

伊東 極論、違いはどんどんなくなっています。無料の編集ソフトでも、有料と同じくらいレベルが高いものも沢山ありますよ。

ただ段階があって、できる人ほど、ケースバイケースで使い分けていきます。ですから、最初はなんでも大丈夫ではないでしょうか。

慶野 これが最後の質問です。「スクールで動画編集を学んでいますが、並行して他に学んだほうがいいことはありますか?」

伊東 動画編集の延長線上で、「より面白くなっていくには」という考え方をしてみることです。すると、「カメラの素材が悪いと編集は面白くならない。じゃあカメラも自分で撮れるようになったほうがいいな」とか、自然に気づいて学ぶべきことが見えてくると思います。

慶野 ればやるほど興味の表面積が広がって、新しい関心が見つかっていくんですね!伊東さん、視聴者のみなさん、今日はありがとうございました。

伊東 ありがとうございました。MMTは、関わったら自信が上がる会社です。門戸もめちゃくちゃ広いので、「現場を覗いてみたい」「インターン、アルバイトをしてみたい」という方は、ぜひ私のInstagramにメッセージをください。誰でもウェルカムです! 

今回のイベントは「動画のプロ」を目指す方の背中を、温かく押してくれる内容になったのではないでしょうか。

デジタルハリウッドSTUDIO横浜では、動画制作のスキルを4ヶ月で磨き上げ、クリエイターとして活躍する足掛かりとなる「動画編集・ネット動画クリエイター専攻」コースを展開されています。オンライン説明会も開催されていますので、興味のある方は下記よりご覧ください。

<登壇者プロフィール>

株式会社MMT 代表取締役 
映像制作クリエイター/プロデューサー

2015年活動スタート。 m-flo・MIYAVI・いきものがかりなどのアーティストLIVE映像や、EDC JAPAN・GREENROOM FESTIVALなどの音楽フェスのアフタームービー。

さらには海外Porter Robinsonなどのフェスドキュメンタリーを中心に活動している実写撮影集団。現在はアジア最大級のクラブageHaのドキュメンタリー映画を制作。近年では、REX&、huezとともにXR事業を展開。

コロナ渦で音楽配信と向き合い、XR LIVE領域に行き着く。
同年代かつ多方面領域のビジュアルアーティスト陣が手を組み、「Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020」における嵐のXRやKizuna AI VIRTUAL LIVEシリーズ、HIPHOPではゆるふわギャング / FNCY / LEXなどのXRから、KOBE MELLOW CRUISEの音楽フェスのバーチャルライブなどにも行き着く。

その他バーチャルクラブ BLUE PRINTを発表したりや、2022年始からもGlo × block.fm NEXSTAGE バーチャルライブにて、YOJI BIOMAHANIKAやravexらのXRライブを展開。

イープラスと共同企画のバンド業界に向けたJAM FUZZ KID XR LIVEなども行う。

話題のVtuberピーナッツくんとの共同XR LIVEやKizuna AIの
バーチャルライブなど自社主催企画含み精力的に活動するチームである。

【MMT公式サイト】https://www.moment-movie.com/

【Instagram】https://www.instagram.com/takatosu_mmt/

慶野英里名(けいのえりな)
パラレルキャリア研究所代表/一般社団法人クロスオーバーキャリア理事長/東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員

都内の出版社にフルタイムで勤務しながら、2018年に「パラレルキャリア研究所」を設立し、「パラキャリ酒場」「秘境PR部」など、複数の軸足を持つ働き方・パラレルキャリアに関するイベントを990回以上開催。イベントの広報はSNSを活用して実施しており、企業・自治体向けにSNS活用のアドバイザー業務なども行う。

【Facebook】https://www.facebook.com/ erina.takamura.5
【note】https://note.com/keinoerina/
【Twitter】https://mobile.twitter.com/erinakeino/

構成 笹間 聖子

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